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末期の歯周病でも完治する?諦めない治療戦略と歯を守る最後の砦2025年10月4日

末期の歯周病でも完治する?諦めない治療戦略と歯を守る最後の砦

平和島・大森エリアの歯医者・歯科「大森沢田通り歯科・予防クリニック」です。

歯科検診で末期の歯周病と診断され、不安な気持ちでこのページをご覧になっている方もいらっしゃるかもしれません。歯のぐらつきや歯茎からの出血、口臭などに長年悩まされてきた中で、「もう手遅れかもしれない」「抜歯するしかないのか」と絶望的な気持ちになっている方も少なくないでしょう。

しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。末期の歯周病だからといって、必ずしも全ての歯を失うわけではありませんし、適切な治療と継続的なケアによって、進行を止め、ご自身の歯を長く使い続ける道はまだ残されています。この記事では、末期の歯周病の現状を深く理解し、どのような治療戦略があるのか、そして治療後の健康な状態をどのように維持していくのかを、具体的な情報と希望を交えて解説していきます。

ご自身の口腔内の状況を正しく把握し、歯科医師とともに前向きな治療への一歩を踏み出すための知識と勇気を得ていただければ幸いです。一緒に、大切な歯を守るための最適な道筋を探していきましょう。

「もう手遅れかも…」末期歯周病の現実と希望

歯科検診で末期の歯周病と診断され、「もう自分の歯は残せないのではないか」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。歯の動揺がひどく、食事にも支障が出始めている状況では、「手遅れなのではないか」と考えてしまうのも無理はありません。

しかし、末期の歯周病と診断されたからといって、すぐに諦める必要はありません。もちろん、状況は深刻ですが、適切な治療と継続的なケアによって、歯周病の進行を食い止め、今ある歯をできるだけ長く維持することは十分に可能です。

このセクションでは、末期歯周病がどのような状態を指すのか、そしてなぜ自然には治らないのか、さらに「完治」という言葉の真の意味と、それでも諦めずに治療に取り組むべき理由について詳しくお話しします。ご自身の状況を正しく理解し、治療への希望を見出すための一歩を踏み出しましょう。

末期の歯周病とはどのような状態?主な症状

末期の歯周病では、歯を支える骨が大きく失われ、歯がグラグラと動揺するようになります。これは、まるで建物の土台が崩れて、柱が不安定になっているような状態です。食事の際に歯が痛んだり、硬いものが噛みにくくなったりと、日常生活にも支障が出始めます。

また、歯茎は大きく腫れ上がり、ブヨブヨとした状態になります。歯磨きの際だけでなく、少し触れただけで出血したり、歯茎を押すと膿が出たりすることもあります。これは、歯周病菌が活発に活動し、炎症が非常に強くなっているサインです。

さらに、口臭がひどくなるのも末期歯周病の典型的な症状の一つです。歯周病菌が作り出すガスや膿が原因となり、周囲の人にも気づかれるほどの強い不快な臭いを放つことがあります。これらの症状は、歯周病がかなり進行していることを示していますので、ご自身の口の中に当てはまるものがあれば、すぐに歯科医院を受診してください。

なぜ自然に治らないのか?歯周病の正体

風邪や軽い切り傷のように、体には自然治癒力が備わっていますが、残念ながら歯周病は自然に治る病気ではありません。その理由は、歯周病が「細菌感染症」であるためです。歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの中に潜む歯周病菌が、毒素を出し続けることで歯茎に炎症を引き起こし、最終的には歯を支える顎の骨を溶かしてしまうのです。

一度ポケットの奥深くに入り込んだ歯周病菌や、それらが作り出す歯石は、日々の歯磨きだけでは完全に除去することができません。病気の原因菌が残り続けている限り、炎症は治まることなく進行し続けます。そのため、歯周病を根本的に治療するには、歯科医院で専門的な処置によってこれらの原因菌を徹底的に取り除くことが不可欠なのです。

「完治」は難しい?でも諦めるのは早い理由

末期の歯周病と聞くと、「もう治らないのではないか」と絶望的な気持ちになるかもしれません。「完治」という言葉が、「一度失われた顎の骨が完全に元通りになること」を意味するのであれば、確かにそれは非常に難しい現実です。

しかし、歯周病治療における「治る」とは、病気の進行を止め、歯周病が再発しないようにコントロールされた状態を維持することを指します。適切な治療を受ければ、歯周病は必ずコントロールできる病気です。現在の症状を改善し、これ以上悪化させないようにすることは十分に可能ですし、今あるご自身の歯を可能な限り長く使い続けることも目指せます。

大切なのは、病気をこれ以上進行させないこと、そして現在の状態からより良い方向へ改善していくことです。歯科医師と協力し、諦めずに治療に取り組むことで、あなたの歯と口の健康を取り戻し、維持していくことができるのです。決して諦めずに、前向きな気持ちで治療に臨んでいきましょう。

歯周病が末期に至るまでのメカニズム

このセクションでは、歯周病が初期の段階から、治療がより困難になる末期の状態へと、どのように進行していくのかを詳しくご説明します。ご自身の現在の状態がどのような背景を経てに至ったのかを理解することで、歯周病への知識を深め、今後の治療の必要性をより強く認識していただけることを願っています。

歯肉炎から重度歯周炎へ:静かに進行する病

歯周病はしばしば「静かなる病気」と呼ばれます。その最大の理由は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないまま、病気がゆっくりと進行していくからです。まず、歯と歯茎の境目にプラーク(歯垢)が溜まることで歯茎が炎症を起こし、「歯肉炎」という状態になります。この段階では歯茎が赤く腫れたり、歯磨きで出血したりすることがありますが、痛みを感じることは稀です。

歯肉炎を放置すると、炎症は歯茎の奥深くへと進行し、「歯周炎」へと移行します。歯周病菌が出す毒素によって歯を支える骨(歯槽骨)が溶け始め、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる隙間が形成されます。このポケットは深くなるにつれて細菌がさらに繁殖しやすくなり、骨の破壊が加速します。通常、歯肉炎から歯が抜け落ちるまでの進行には15年から30年という長い年月がかかるとされています。

このように、痛みがないまま病気が進むため、多くの方は「気づいた時には末期に近い状態」で歯科医院を受診されます。しかし、自覚症状が少ないからといって放置することは、ご自身の歯を失うことへ直結します。ご自身がこれまでに歯周病に気づけなかったとしても、決してご自身のせいだと責める必要はありません。今からでも、ご自身の歯の状態を深く理解し、適切な治療へと進むことが大切なのです。

顎の骨が溶けるとは?歯周組織で起きていること

末期の歯周病で特に深刻なのが、「顎の骨が溶ける」という現象です。これは、お口の中で静かに進行する、非常に破壊的なプロセスを指します。歯と歯茎の境目に溜まった歯周病菌が、毒素を絶えず放出し続けることで、まず歯茎に炎症を引き起こします。この炎症が長く続くと、体は異物を排除しようと防御反応を起こしますが、その過程で歯を支えている重要な組織が破壊されてしまいます。

具体的には、歯をしっかりと顎の骨に固定している「歯槽骨」と呼ばれる骨が、歯周病菌の出す毒素や体の防御反応によって徐々に溶かされていきます。例えるならば、建物の土台が少しずつ崩れていくような状態です。土台が脆くなると、どれだけ上部が丈夫でも建物は不安定になり、最終的には倒壊してしまいます。歯の場合も同様で、歯槽骨が溶けてしまうと、歯を支えきれなくなり、歯がぐらつき始め、最終的には抜け落ちてしまうのです。

この顎の骨が溶けるメカニズムは、目に見えない歯周ポケットの奥深くで進行するため、ご自身でその変化に気づくことは非常に困難です。しかし、この骨の破壊が歯の喪失に直結するため、歯科医院での専門的な検査を通して、現在の骨の状態を正確に把握し、これ以上の進行を食い止めるための治療を開始することが何よりも重要になります。

気づいた時には手遅れ?発見が遅れる原因

多くの方が「気づいた時には手遅れに近い状態」で歯周病の診断を受けるのは、この病気特有の性質に原因があります。最も大きな要因は、初期の歯肉炎や軽度の歯周炎にはほとんど痛みが伴わないことです。痛みがないため、歯茎からの少しの出血や軽度の腫れを「歯磨きのせい」「疲れているから」と自己判断してしまい、深刻なサインと捉えない方が少なくありません。また、「これくらいはよくあること」と軽視されがちな傾向も、発見を遅らせる一因となっています。

さらに、定期的に歯科検診を受ける習慣がない方も多くいらっしゃいます。歯科医院は「痛くなってから行くところ」という認識が根強く残っているため、自覚症状がない限り、専門家によるチェックを受ける機会が失われがちです。これにより、歯周ポケットの深さや骨の状態といった、ご自身では確認できない重要な情報を知る機会を逸してしまいます。しかし、ご自身がこれまで歯周病に気づけなかったとしても、それは決して特別なことではありません。多くの方が経験することです。大切なのは、これまでのことを悔やむのではなく、今この瞬間にご自身の歯と向き合い、適切な治療へと一歩を踏み出すことです。決して「もう遅い」ということはありません。

諦めないための治療戦略|重度歯周病へのアプローチ

末期の歯周病と診断されても、決して諦める必要はありません。現代の歯科医療には、進行した歯周病に対しても効果的な「治療戦略」が確立されています。ここでは、歯周病をコントロールし、大切な歯を守るための具体的なアプローチをご紹介します。治療は段階的に進められ、「歯周基本治療」「歯周外科治療」「歯周補綴治療」といった、一人ひとりの状態に合わせた最適な方法が選ばれます。これらの治療法を通じて、病気の進行を食い止め、再び口の中の健康を取り戻すことが可能です。希望を捨てずに、私たちと一緒に治療の道筋を見ていきましょう。

すべての基本「歯周基本治療」

歯周病治療において、どのような進行度合いであっても、まず最初に行われるのが「歯周基本治療」です。この治療は、歯周病の原因となる細菌を取り除き、口腔内環境を整えることを目的としています。歯周基本治療は、その後のより専門的な治療の効果を最大限に引き出すための土台作りであり、治療全体の成否を左右する非常に重要なステップとなります。

徹底的な歯石・プラークの除去(スケーリング・ルートプレーニング)

スケーリング・ルートプレーニングは、歯周基本治療の核となる処置です。これは単なる歯の表面のクリーニングではなく、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の間の溝の奥深くに溜まった、細菌の塊であるプラークや、硬く石灰化した歯石を徹底的に除去する専門的な治療です。

この処置では、専用の器具を使って歯周ポケットの奥深くにある歯根の表面まで丁寧に清掃します。歯周病は細菌感染症であるため、この原因菌を物理的に取り除くことが、歯周病の進行を止める上で最も重要になります。スケーリング・ルートプレーニングによって細菌の温床をなくすことで、歯茎の炎症が改善され、健康な状態を取り戻すための第一歩となります。

正しいセルフケアの習得

歯科医院での専門的な治療と同じくらい、いやそれ以上に重要となるのが、ご自身で行う日々のセルフケアです。歯周病は生活習慣病の一面も持ち合わせており、治療を受けて口の中がきれいになっても、毎日のケアを怠れば再発のリスクが高まります。

歯科医師や歯科衛生士は、患者さん一人ひとりの口腔内の状態に合わせた正しい歯磨きの方法や、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの補助器具の効果的な使い方を指導します。これらのセルフケアを習得し、実践することで、ご自身が治療の主体となり、歯周病の進行を食い止め、健康な状態を維持する力を得ることができます。

歯を残すための選択肢「歯周外科治療」

歯周基本治療で炎症の改善が見られない、あるいは歯周ポケットが深く、器具が届かないような場合には、「歯周外科治療」が選択肢となります。この治療は、歯周基本治療の限界を超える部分にアプローチし、歯周病の原因をより確実に除去することで、大切な歯を救うための積極的な手段です。外科治療と聞くと不安に感じるかもしれませんが、これは歯を残すための前向きな選択肢と考えてください。

歯茎を切開して汚れを取り除くフラップ手術

フラップ手術は、歯周外科治療の代表的な手法の一つです。この手術では、歯茎を一時的に切開してめくり上げ、歯根の表面や顎の骨を直接目で確認できる状態にします。これにより、非外科的な処置では届きにくかった歯周ポケットの奥深くにある歯石や感染組織、病気に侵された歯肉を、目で確認しながら徹底的に除去することが可能となります。

フラップ手術の最大のメリットは、病気の原因を確実に取り除くことができる点にあります。深く複雑な形状の歯周ポケットでも、直視下で清掃を行うことで、歯周病の進行を効果的に食い止め、歯を安定させることを目指します。

失われた組織の再生を目指す「歯周組織再生療法」

歯周組織再生療法は、歯周病によって失われてしまった顎の骨(歯槽骨)や歯根膜などの歯周組織を、特殊な材料を用いて再生を促すことを目的とした高度な外科治療です。この治療法は、歯周病が進行し、歯を支える骨が大きく失われてしまった場合に検討されます。

すべてのケースに適用できるわけではありませんが、適切な条件が揃えば、再生誘導材料などを利用することで、失われた歯周組織をある程度回復させることが期待できます。これにより、歯の支持組織を再構築し、歯の寿命を延ばす可能性を高める、大きな希望となる選択肢です。

ぐらつく歯を安定させる「歯周補綴治療」

末期の歯周病では、歯を支える骨が少なくなることで、歯がぐらつくことがよくあります。このような動揺が著しい歯に対しては、「歯周補綴治療」が有効な選択肢となります。この治療は、不安定な歯を安定させ、噛む機能を回復させることを目的としています。

具体的な方法としては、ぐらつきのある複数の歯を接着剤や被せ物(クラウン)で連結・固定(暫間固定)することで、お互いを支え合わせます。これにより、一本の歯にかかる負担を分散させ、歯の動揺を抑え、食事や会話時の不快感を軽減することができます。歯周補綴治療は、ぐらつく歯の延命を図り、残された歯をできるだけ長く保つための一助となります。

やむを得ず抜歯となるケースとその後の選択

これまで、末期の歯周病と診断されても、ご自身の歯を残すための様々な治療法についてお話ししてきました。しかし、どんなに手を尽くしても、残念ながらやむを得ず抜歯という選択をしなければならないケースも存在します。抜歯と聞くと、治療の失敗や終わりだと感じてしまうかもしれません。しかし、そうではありません。抜歯は、口内全体の健康を取り戻し、より良い未来を築くための、戦略的な判断の一つとなることがあります。

このセクションでは、どのような場合に抜歯が必要になるのか、そして抜歯後にどのような選択肢があるのかを詳しくご説明します。不安を感じるかもしれませんが、きちんと知識を持つことで、前向きに次のステップを考えることができるようになりますので、ご安心ください。

なぜ抜歯が必要になるのか?

歯周病が末期まで進行すると、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)の吸収が著しく進み、歯がグラグラと動揺するようになります。歯が骨にほとんど支えられていない状態では、歯としての機能を果たせなくなり、食事を噛むことも困難になります。また、痛みや感染が慢性化し、他の健康な歯や全身の健康に悪影響を及ぼすリスクも高まります。このような場合、残っている歯の健康を守り、口内全体の環境を改善するために、抜歯が最善の選択となることがあります。

抜歯は、単に問題を抱えた歯を取り除く行為ではなく、口内環境全体の改善を目的とした重要なステップです。歯周病が進行した状態では、まずお口の中の感染源を徹底的に除去し、炎症を抑えることが何よりも優先されます。問題を抱えた歯をそのままにしておくことで、健康な歯まで危険にさらしてしまうことも考えられます。歯科医師は、精密な検査と診断に基づいて、患者さんのお口の健康を第一に考えた上で、抜歯の必要性を判断します。

歯を失ったまま放置するリスク

もし抜歯をした後に、失った歯をそのまま放置してしまうと、様々なリスクが生じます。まず、歯がない空間ができることで、隣り合う歯がその空隙に向かって倒れ込んできたり、噛み合っていた上下の歯が伸びてきたりして、歯並びや噛み合わせが大きく乱れてしまいます。これは、見た目の問題だけでなく、食事の際に特定の歯に負担が集中したり、清掃がしにくくなることで虫歯や歯周病のリスクが再び高まる原因となります。

さらに、歯がなくなった部分は刺激が伝わらなくなるため、顎の骨(歯槽骨)が徐々に痩せていきます。骨が痩せると、将来的に入れ歯やインプラントなどの治療を検討する際に、選択肢が狭まったり、治療が困難になったりする可能性があります。見た目の面では、歯がないことで口元の印象が変わり、若々しさを損なうこともあります。

長期的に見ると、歯を失ったまま放置することは、栄養バランスの偏りにも繋がります。十分に噛むことができないため、やわらかいものばかりを選んで食べるようになりがちです。また、近年では、残っている歯が少ないと、認知症のリスクが上昇するという研究結果も報告されています。このように、失った歯を放置することは、お口の中だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な方法で補うことが非常に重要です。

失った歯を補う方法(インプラント・ブリッジ・入れ歯)

抜歯によって失われた歯を補う方法はいくつかあり、主に「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」の3つが挙げられます。それぞれの方法には特徴があり、お口の状態や費用、求める機能性によって適した選択肢が異なります。

インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。自分の歯と同じようにしっかりと噛める感覚が得られ、見た目も自然です。しかし、歯周病で顎の骨が極度に吸収されている場合、インプラントを埋め込むための十分な骨の量がないと、骨造成といった追加の治療が必要になることがあります。

ブリッジは、失った歯の両隣にある歯を削り、橋渡しをするように人工歯を被せる方法です。固定式なので、違和感が少なく、比較的しっかり噛めます。ただし、健康な歯を削る必要がある点や、支えとなる歯に負担がかかる点がデメリットとして挙げられます。また、歯周病で隣の歯が弱っている場合には適さないことがあります。

入れ歯は、失われた歯の数や位置に応じて、部分入れ歯や総入れ歯があります。取り外しができるため、ご自身でお手入れがしやすいという利点があります。費用も比較的抑えられる傾向にあります。しかし、噛む力がインプラントやブリッジに比べて劣ることや、歯周病によって顎の骨が吸収されていると、入れ歯が安定しにくく、使用中に痛みやずれが生じやすい場合があります。どの治療法も一長一短がありますので、歯科医師とよく相談し、ご自身の状態や希望に合った方法を選ぶことが大切です。

歯を守る最後の砦|治療後のメンテナンスと再発防止

歯周病の治療が無事に完了したとしても、それだけで安心とは言えません。むしろ、ここからが「歯を守る最後の砦」となる、長期的な維持管理の始まりです。一度改善したお口の環境をいかに保ち続けるかが、歯の寿命を大きく左右します。再発を防ぎ、手に入れた健康な状態を生涯維持していくための具体的な方法について、これから詳しくご説明します。

治療効果を維持するプロフェッショナルケア(SPT)

歯周病治療によってお口の環境が改善されたとしても、原因菌が完全にいなくなるわけではありません。そのため、治療で得られた良好な状態を維持し、歯周病の再発を早期に発見して対応するために、定期的な「SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)」と呼ばれるプロフェッショナルケアが不可欠となります。

SPTでは、歯科衛生士や歯科医師が歯周ポケットの奥深くまできれいにする専門的なクリーニングを行います。これは、ご自身での歯磨きでは届かない部分の歯石やプラークを除去し、お口の中を常に清潔に保つことを目的としています。日頃からのセルフケアももちろん重要ですが、プロによるケアが加わることで、再発リスクを大幅に低減できるのです。

日々のセルフケアが歯の寿命を決める

どれほど専門的な治療を受けても、その効果を長持ちさせるためには、日々のセルフケアが最も重要になります。歯科医院での治療で一度きれいになったお口の中も、毎日の歯磨きや補助器具を使ったケアを怠れば、再び歯周病菌が増殖し、元の状態に戻ってしまう可能性が高いからです。

正しい歯磨きの方法を習得し、歯間ブラシやデンタルフロスなどを効果的に使う習慣を身につけることが、ご自身の歯を守る最大の力となります。治療を終えた今だからこそ、セルフケアの質を最大限に高め、自分自身の歯を健康に保つという強い意識を持つことが、歯の寿命を延ばす鍵となるのです。

全身の健康との関わり(糖尿病など)

歯周病は、単にお口の中だけの病気ではありません。歯周病菌が血液の流れに乗って全身に広がることで、糖尿病をはじめとする様々な全身疾患に悪影響を及ぼす可能性があることが、近年の研究で明らかになっています。例えば、糖尿病患者さんの場合、歯周病を治療することで血糖値のコントロールが改善されることも報告されています。

また、心疾患や動脈硬化、さらには認知症のリスクを高めるといった関連性も指摘されています。したがって、歯周病の治療と適切な管理を続けることは、単にご自身の歯を守るだけでなく、全身の健康を維持し、より豊かな生活を送るためにも非常に重要な意味を持つのです。

まとめ:末期の歯周病と診断されたら、まずは専門家へ相談を

末期の歯周病と診断されたとき、「もう手遅れかもしれない」と深く落ち込んでしまうかもしれません。しかし、この記事を通して、たとえ末期であっても、適切な治療戦略によって病気の進行を止め、歯を救うための多くの選択肢があることをご理解いただけたことと思います。

治療は、歯科医師との密接な連携のもとに行われる共同作業です。徹底的な歯石除去から歯周外科治療、さらには再生療法まで、さまざまなアプローチを組み合わせることで、失われかけた歯と歯周組織を再建し、機能回復を目指すことが可能です。そして、一度回復した口腔内の健康を維持するためには、治療後のプロフェッショナルケアと、患者さんご自身による日々の丁寧なセルフケアが不可欠となります。

決して諦める必要はありません。大切なことは、一人で悩みを抱え込まず、信頼できる歯科医院を見つけ、専門家とともに最適な治療計画を立てることです。まずは一歩踏み出して、歯科医師に相談することから、ご自身の歯を守るための新たなスタートを切ってください。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

菅野 友太郎 | Yutaro Kanno

国立東北大学卒業後、都内の医療法人と石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)に勤務。
2018年大森沢田通り歯科・予防クリニックを開業し現在に至る。

【所属】
5-D Japan 会員
日本臨床歯周病学会 会員
OJ(Osseointegration study club of Japan) 会員
静岡県口腔インプラント研究会 会員
日本臨床補綴学会 会員 会員
日本デジタル歯科学会 会員
SPIS(Shizuoka Perio implant Study) 会員

・TISS(Tohoku implant study society) 主催

 

【略歴】
2010年国立東北大学 卒業
・2010年都内医療法人 勤務
2013年 石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)勤務
2018年 大森沢田通り歯科・予防クリニック 開業
2025年 銀座Aクリニックデンタル 理事長 就任

平和島・大森エリアの歯医者・歯科「大森沢田通り歯科・予防クリニック」
沢田通り歯科・予防クリニック
住所:東京都大田区大森北6丁目23−22
TEL:03-3767-0648