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歯科通院を減らす!自宅でできる歯石ケアの基本と応用2025年11月1日

歯科通院を減らす!自宅でできる歯石ケアの基本と応用

平和島・大森エリアの歯医者・歯科「大森沢田通り歯科・予防クリニック」です。

歯科検診で歯石を指摘されたものの、多忙な日々の中で歯科医院に通う時間を見つけるのは大変だったり、毎回高額な費用がかかることにため息をついてしまったりすることもあるのではないでしょうか。自宅で手軽に歯石を除去したいと考えている方もいるかもしれません。しかし、歯石は単なる汚れではなく、間違った自己処理は歯や歯茎を傷つけ、かえって口腔内の状態を悪化させてしまう危険性があります。この記事では、歯石を自宅で「取る」のではなく、正しい知識を持って「予防」することの重要性を軸に、歯科医院での専門的なケアと組み合わせることで、安全かつ効果的に口腔衛生を保ち、結果的に歯科医院への通院回数を賢く減らすための具体的な方法を詳しく解説していきます。

まずは知っておきたい歯石の基本知識

このセクションでは、歯石に関する基本的な知識を解説していきます。歯石の正体や種類、そして放置することによって引き起こされるさまざまなリスクを知ることは、ご自身に合った適切なケア方法を選び、お口の健康を守る上でとても重要です。この後の章で、歯石がどのように形成され、どのような種類があり、なぜ放置してはいけないのかを具体的にご紹介します。

歯石とは?みがき残した歯垢が石灰化したもの

歯石とは、毎日の歯磨きで取り残した歯垢(プラーク)が、唾液の中に含まれるカルシウムなどのミネラルと結びついて石のように硬くなったものです。歯垢が歯石に変化するまでには、約2週間かかると言われています。この期間を過ぎると、歯垢は歯磨きでは取り除けない硬い塊になってしまいます。

歯石は単なる汚れではなく、細菌の塊が石化したもので、表面は非常にザラザラしています。このザラザラした部分には、さらに細菌が住みつきやすくなり、お口の中の環境を悪化させる原因となります。そのため、一度歯石ができてしまうと、ご自身の歯磨きでは除去することが非常に難しくなります。

歯石には2つの種類がある|歯茎の上と下

歯石は、お口の中のどこにできるかによって大きく2つの種類に分けられます。一つは「歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)」、もう一つは「歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)」です。これらはできる場所だけでなく、色や硬さ、形成されやすさにも違いがあります。

歯肉縁上歯石は、歯茎の上の、私たちが見える範囲にできる歯石です。主に唾液腺の開口部に近い、下の前歯の裏側や上の奥歯の外側によく見られます。色は乳白色をしていて、比較的柔らかい特徴があります。

一方、歯肉縁下歯石は、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の境目の溝の中に隠れてできる歯石です。血液成分が含まれるため、黒っぽい色をしているのが特徴で、「黒い歯石」とも呼ばれます。この歯肉縁下歯石は、歯肉縁上歯石よりも硬く、歯周病の進行と深く関係している、非常に危険なサインとなります。

歯石を放置するとどうなる?3つの主なリスク

歯石は痛みを感じることがほとんどないため、気づかないうちに蓄積し、放置されがちです。しかし、歯石を放置することは、お口の中にさまざまなトラブルを引き起こす大きな原因となります。ここでは、歯石を放置することで高まる「歯周病の進行」「口臭の発生」「虫歯のリスク増加」という3つの主なリスクについて解説していきます。

リスク1:歯周病が進行する

歯石は、それ自体が直接歯周病を引き起こすわけではありません。しかし、歯石の表面はザラザラしているため、歯垢(プラーク)が非常に付着しやすくなります。この付着した歯垢の中には歯周病菌が大量に存在し、歯周病菌の温床となってしまうのです。

特に、歯茎の下にできる歯肉縁下歯石は、歯周ポケットをさらに深くする原因となり、歯周病菌が活動しやすい環境を作り出してしまいます。これにより、歯茎の炎症が悪化し、歯を支える骨が溶かされていく歯周病の進行を加速させてしまう、深刻な要因となります。

リスク2:口臭の原因になる

歯石は、口臭の大きな原因の一つにもなります。歯石の表面に付着した歯垢の中の細菌が、食べカスや剥がれた粘膜などを分解する際に、「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれるガスを発生させます。これが、不快な口臭の主な原因となります。

また、歯石が原因で歯周病が進行すると、歯茎から膿が出たり出血したりすることもあります。これらの膿や血液も、口臭をさらに悪化させる要因となります。ご自身の口臭が気になる場合は、歯石が蓄積している可能性も考えてみてください。

リスク3:虫歯になりやすくなる

歯石自体が直接虫歯を作ることはありませんが、歯石があることで虫歯のリスクは格段に高まります。なぜなら、歯石の周りには歯垢が常に付着しやすい状態にあるためです。歯垢の中には虫歯菌がいて、食べ物に含まれる糖分を分解して酸を作り出します。

この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、虫歯が発生します。歯石があると、歯ブラシの毛先が届きにくくなり、歯垢を効率的に除去することができません。結果として、歯石によって磨き残しが増え、虫歯になりやすいお口の環境が作られてしまうのです。

【要注意】「自分で歯石を取る」セルフケアの危険性

自宅で歯石を取りたいと考える気持ちはよく分かります。歯科医院での費用や通院の手間を考えると、市販のスケーラーなどに手軽さを感じるかもしれません。しかし、専門的な知識や技術がないまま自己処理を行うことは、口の中の健康を著しく損なう危険性があることを知っておく必要があります。このセクションでは、なぜ歯石の自己処理が推奨されないのか、具体的な理由と、どのようなリスクが伴うのかを詳しく解説していきます。

市販のスケーラーなどを使った自己処理をおすすめしない理由

市販されている歯石除去ツール、特にスケーラーと呼ばれる器具は、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が使用するものと見た目は似ているかもしれません。しかし、使い方を誤ると、口の中に重大なトラブルを引き起こす可能性があります。これから、なぜご自身でこれらの器具を使って歯石を取ることをおすすめできないのか、その具体的なリスクとして「歯や歯茎を傷つけてしまう」「細菌が入り込み症状が悪化する可能性がある」「最も重要な縁下歯石は除去できない」という3点について詳しく見ていきましょう。

歯や歯茎を傷つけてしまう

ご自身で歯石を取ろうとすると、歯や歯茎に深刻なダメージを与えてしまう危険性があります。市販のスケーラーは、歯科医院で使用されるプロ用の器具と同様に、非常に鋭利な先端を持っています。これを誤った角度で歯に当てたり、力を入れすぎたりすると、健康な歯の表面を覆うエナメル質を削り取ってしまう可能性があります。

一度削り取られたエナメル質は元に戻ることがありません。エナメル質が損傷すると、歯がしみやすくなったり、虫歯になりやすくなったりする原因となります。また、誤って歯茎を傷つけてしまうと、出血や炎症を引き起こし、痛みを伴うだけでなく、さらなるトラブルの引き金になることもあります。

細菌が入り込み、症状が悪化する可能性がある

自己流で歯石除去を行うことのもう一つの大きなリスクは、細菌感染を引き起こす可能性がある点です。もしスケーラーで歯茎に傷をつけてしまった場合、その傷口は口腔内に存在する大量の細菌にとって格好の侵入経路となってしまいます。

傷口から細菌が侵入すると、もともとあった歯肉炎が悪化したり、新たな感染症を引き起こしたりする危険性が高まります。歯科医院では、使用する器具は厳重に滅菌されており、感染対策が徹底されていますが、ご家庭での自己処理では、そこまでの衛生管理を行うことは非常に難しいのが現状です。

最も重要な「縁下歯石」は除去できない

ご自身で行う歯石除去の最も大きな限界は、歯周病の進行に深く関わる「歯肉縁下歯石」を取り除くことができない点にあります。鏡で見える範囲にある歯肉縁上歯石であれば、運良く一部を取り除けるかもしれませんが、歯周病の主な原因となる縁下歯石は、歯茎の奥深く、目に見えない場所に隠れています。

歯科医師や歯科衛生士は、レントゲン写真などの検査結果と専門的な知識に基づき、特殊な器具を使ってこの見えない歯石を確実かつ安全に除去します。自己処理では、この最も重要な縁下歯石を見つけることも、適切な方法で除去することも不可能です。そのため、ご自身で歯石を取ろうとしても、歯周病の根本的な解決にはならず、むしろ歯周病の悪化を招くことにもつながりかねません。

もし歯石が自然に取れたら?歯周病のサインかも

ある日突然、口の中から歯石の塊のようなものが取れて、「やった、歯石が取れた!」と喜んでしまうかもしれません。しかし、これは「ラッキー」なことではなく、むしろ歯周病がかなり進行している危険なサインである可能性が高いのです。

歯石は、健康な状態であれば歯にしっかりと付着しています。それが自然に剥がれ落ちるということは、歯石を支えていた歯茎や、さらにその下の骨が歯周病によって溶けてしまい、歯石が安定して付着していられなくなった、というメカニズムが考えられます。もしこのような現象が起きた場合は、決して自己判断で済ませず、速やかに歯科医院を受診して、正確な診断と適切な治療を受けることを強くおすすめします。

歯科通院を減らす!自宅でできる歯石「予防」ケア【基本編】

これまでのセクションでは、歯石が口内の健康にもたらす危険性や、ご自身で歯石を取り除こうとすることの大きなリスクについて解説してきました。このセクションからは、ご自宅で安全かつ効果的に行える「予防」に焦点を当てて解説します。歯石は一度形成されてしまうと、ご自身の力では取り除くことができません。そのため、そもそも歯石を作らないようにすることが、健康な口腔内を保つ上で最も重要です。毎日の歯磨きを丁寧に実践することや、デンタルフロスなどの補助アイテムを上手に活用するといった、今日からすぐに始められる基本的な予防方法について具体的にご紹介していきます。

毎日の歯磨きを徹底する

歯石を予防するための最も基本的で大切なことは、毎日の歯磨きを徹底することです。単に歯ブラシで磨くだけではなく、「質の高い歯磨き」を実践することが、歯石の形成を効果的に防ぐ鍵となります。この後、歯石が特に付着しやすい場所と、その部分を意識した正しいブラッシング方法、そして歯石予防に役立つ歯磨き粉の選び方について詳しく解説していきます。

歯石が付きやすい場所と正しいブラッシング方法

歯石は、特に唾液腺の開口部に近い場所に付着しやすい傾向があります。具体的には、下の前歯の裏側や、上の奥歯の外側(頬側)などが挙げられます。これらの場所は唾液に含まれるカルシウムなどが歯垢と結びつきやすく、歯石が形成されやすいのです。

これらの歯石が付きやすい場所を意識して、丁寧にブラッシングすることが重要です。歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かしながら磨きましょう。力を入れすぎると歯や歯茎を傷つけてしまう原因になりますので、軽い力で優しく磨くことを心がけてください。

歯石予防に効果的な歯磨き粉の選び方

歯磨き粉やマウスウォッシュには、残念ながらすでにできてしまった歯石を溶かして取り除く効果はありません。そのため、歯磨き粉に過度な期待をせず、あくまで歯磨きの補助的なアイテムとして選びましょう。

しかし、歯石の「沈着を防ぐ」効果が期待できる薬用成分が配合されている歯磨き粉は存在します。例えば、ポリリン酸ナトリウムやゼオライトといった成分は、歯の表面をツルツルに保ち、歯垢や歯石の付着を抑制する効果が期待できます。これらの成分が配合された歯磨き粉を選ぶことで、日々のブラッシング効果をさらに高め、歯石予防に繋げることができます。

歯ブラシだけでは不十分!補助アイテムを活用しよう

歯ブラシを使ったブラッシングだけでは、お口の中全体の歯垢のうち約60%程度しか除去できないと言われています。歯と歯の間や、歯と歯茎の境目など、歯ブラシの毛先が届きにくい場所には、どうしても歯垢が残りやすくなります。これらの磨き残しが、時間とともに歯石へと変化する原因となります。そのため、歯ブラシだけでは取りきれない歯垢を除去するために、補助的な清掃アイテムを上手に活用することが非常に重要です。この後、デンタルフロス、歯間ブラシ、マウスウォッシュといった代表的な補助アイテムの役割と、それぞれの正しい使い方について詳しく解説していきます。

歯と歯の間の歯垢を除去するデンタルフロス・歯間ブラシ

歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間には、歯垢が残りやすく、そこから歯石が形成されるリスクが高まります。この部分の歯垢(歯間プラーク)を効果的に除去するためには、デンタルフロスや歯間ブラシが不可欠です。

デンタルフロスには、ホルダーに糸がセットされた「糸ようじタイプ」と、ご自身で必要な長さに切って使う「ロールタイプ」があります。糸ようじタイプは手軽に使えるのが特徴で、ロールタイプはより細かい調整が可能です。歯間ブラシは、歯と歯の間の隙間の大きさに合わせてサイズを選ぶことが大切です。無理に大きいサイズを使うと歯茎を傷つける可能性がありますので、歯科医院でご自身に合ったサイズを確認してもらうのが良いでしょう。これらのアイテムは、毎日1回、特に就寝前の歯磨きの際に使用することで、効果的な歯垢除去に繋がり、歯石予防に大きく貢献します。

マウスウォッシュは歯石を溶かす?補助的な役割と使い方

「マウスウォッシュを使えば歯石が溶ける」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらマウスウォッシュに歯石を溶かす効果はありません。マウスウォッシュの主な役割は、口内の細菌を殺菌成分で減らし、歯垢の付着を抑制すること、そして口臭を予防することです。

そのため、マウスウォッシュは歯磨きやデンタルフロスなどで物理的に歯垢を取り除いた後の「仕上げ」として使用するのが効果的です。ブラッシングでは届きにくい部分の細菌を減らし、口内全体を清潔に保つ補助的な役割を果たします。使用する際は、製品に記載された正しい量と方法で、適切な時間口に含んでうがいをしましょう。

自宅でできる歯石ケア【応用編】

このセクションでは、基本的な予防ケアに加え、さらに一歩進んだ自宅でのケア方法をご紹介します。日々のケアの質をさらに高め、より効果的に歯石を予防するための応用的な知識やテクニックについて解説していきます。電動歯ブラシの活用、ご自身で口腔内をチェックする習慣、そして食生活の見直しといったテーマを扱います。

電動歯ブラシは歯石予防に有効か

電動歯ブラシは、歯石予防において非常に有効なツールの一つです。手磨きに比べて短時間で効率的に歯垢を除去できる点が大きなメリットとして挙げられます。特に、手先の器用さに自信がない方や、磨き残しが多いと感じる方にとっては、電動歯ブラシを導入することで、毎日の歯磨きの質を格段に向上させることが期待できます。

ただし、電動歯ブラシを使えば自動的に歯石が完全に防げるというわけではありません。正しい当て方や動かし方をしなければ、その効果は半減してしまいます。また、電動歯ブラシでは歯と歯の間の歯垢まですべて除去できるわけではないため、手磨きの場合と同様に、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが非常に重要です。適切な使い方をマスターし、他のケアと組み合わせることで、より効果的な歯石予防につながります。

定期的に口の中をセルフチェックする習慣

ご自身の口腔内に関心を持つことは、健康な歯を保つ上で非常に大切です。定期的なセルフチェックを習慣にすることで、歯石やその他の口腔トラブルの早期発見につながります。鏡を使って、特に歯石が付きやすいとされる下の前歯の裏側や、上の奥歯の外側などを中心に、歯石が付いていないか、歯茎が赤く腫れていないか、出血していないかなどを確認してみましょう。

このセルフチェックは、異常の早期発見につながり、歯科医院を受診する適切なタイミングを判断する助けになります。あくまでご自身で診断するものではなく、少しでも気になる点や変化を見つけたら、早めに歯科医師や歯科衛生士に相談するためのきっかけと捉えることが大切ですいです。

食生活の見直しで歯石を付きにくくする

歯石の直接的な原因は歯垢ですが、毎日の食生活を工夫することでも、歯垢が付きにくい口腔環境を整え、結果的に歯石の形成を予防することができます。まず、糖分が多く粘着性の高い食べ物、例えばアメやチョコレート、キャラメルなどは、歯に長時間残りやすく歯垢の生成を促すため、控えることをおすすめします。

一方で、よく噛んで食べる習慣は唾液の分泌を促します。唾液には口腔内の汚れを洗い流す「自浄作用」や、虫歯の原因となる酸を中和する働きがありますので、意識して噛む回数を増やすと良いでしょう。また、食物繊維が豊富な野菜などを食べることは、歯の表面の汚れを落とす効果も期待できます。食後すぐに歯磨きができない場合は、水で口をゆすぐだけでも、食べかすを取り除き、口腔内のpHバランスを整えるのに役立ちます。

やはりプロのケアは必要?歯科医院での歯石除去

これまで自宅での歯石予防ケアの重要性をお伝えしてきましたが、それだけでは防ぎきれない歯石が存在します。歯石を完璧に除去し、健康な口内環境を維持するためには、プロの目と技術による定期的なチェックとクリーニングが不可欠です。このセクションでは、なぜ歯科医院での専門的なケアが必要なのか、実際にどのような処置が行われるのか、そして費用や通院頻度など、皆さんが気になる実践的な情報について詳しくご説明します。

自宅ケアでは取れない歯石とプロケアの違い

自宅でのセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアには、明確な違いがあります。最大のポイントは、鏡で見えない歯茎の下に隠れた「歯肉縁下歯石」を除去できるかどうかです。この黒い歯石は歯周病の進行に深く関わっており、セルフケアでは絶対に除去できません。

歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士が専門的な訓練を積んでおり、歯垢と歯石、さらには健康な歯質を正確に見極めることができます。超音波スケーラーやハンドスケーラーといった専門的な器具を使いこなし、歯や歯茎を傷つけることなく、歯石だけを安全かつ確実に除去する技術を持っています。自宅ケアが日々の「予防」に重点を置いているのに対し、プロケアは歯周病の「治療」と、より専門的な視点からの「予防」という位置づけになります。

歯科医院で行う歯石除去の流れと方法

歯科医院での歯石除去は、皆さんが抱く不安を和らげるために、丁寧な手順で行われます。まず、問診と視診、そして歯周ポケットの深さを測定したり、必要に応じてレントゲン撮影を行ったりして、お口の中の状態を正確に把握します。これにより、どの部分にどれくらいの歯石が付着しているか、歯周病の進行度合いはどうかなどを詳しく確認します。

次に、超音波スケーラーという器具を使って、歯の表面に付着した大きな歯石や、歯茎の浅い部分にある歯石を大まかに除去します。超音波の振動によって歯石が砕かれ、水で洗い流されるため、比較的痛みを感じにくいのが特徴です。その後、ハンドスケーラーという細い器具に持ち替えて、歯周ポケットの奥深くにある小さな歯石や、超音波スケーラーでは届きにくい部分の歯石を一本一本丁寧に除去していきます。処置が終わった後は、歯の表面を研磨してツルツルに仕上げることが一般的です。これにより、歯垢や着色が再付着しにくくなり、清潔な状態を長く保つことができます。

歯石除去の費用は?保険適用と自費診療

歯科医院での歯石除去にかかる費用は、保険が適用される場合と、自費診療となる場合で大きく異なります。保険が適用されるのは「歯周病治療」の一環として歯石を除去する場合で、通常、検査費用なども含めて3割負担でおよそ3,500円から4,000円程度が目安です。

一方、自費診療でのクリーニングは、一般的に約8,000円程度かかることが多いです。自費診療では、病気の治療というよりも、虫歯や歯周病の「予防」や「審美」を目的としたメニューが提供されます。例えば、より時間をかけて丁寧なクリーニングを行ったり、歯の表面の着色を専門的に除去するPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)など、個々のニーズに合わせた詳細なケアを受けられる点が特徴です。保険診療では範囲が限られるため、より徹底したクリーニングを希望する場合は自費診療を選択することになります。

推奨される歯石除去の頻度

歯科医院での歯石除去は、一般的に年に3回から4回、つまり3〜4ヶ月に一度の頻度で受けることが望ましいとされています。これは、歯石が約2週間で形成され始めることを考慮すると、定期的に除去することで、口内を清潔な状態に保ちやすくなるためです。

しかし、この頻度はあくまで目安であり、個人の口内環境によって最適な間隔は異なります。例えば、歯石が特に付きやすい方、歯周病の進行度が高い方、あるいはご自宅でのセルフケアが十分でない方などは、もう少し短い間隔での通院が必要になることもあります。反対に、口内環境が非常に良好で、セルフケアも完璧にできている方であれば、年に1~2回で十分な場合もあります。ご自身の状況に合わせて、かかりつけの歯科医師や歯科衛生士と相談し、最適なメンテナンススケジュールを立てることが、健康な歯を維持する上で非常に重要です。

まとめ:正しい自宅ケアと定期的なプロのケアで、賢く歯科通院を減らそう

この記事では、ご自宅でできる歯石ケアの方法について詳しくご紹介しました。歯石は一度形成されるとご自身で除去することは非常に困難です。そのため、日々の丁寧な歯磨きやデンタルフロスなどの補助清掃用具の活用によって、そもそも歯石を「作らない」ための予防が最も重要になります。

しかし、どんなに丁寧なセルフケアを行っていても、どうしても磨き残しは発生し、やがて歯石へと変化してしまいます。完璧な口腔環境を維持し、虫歯や歯周病といったトラブルを未然に防ぐためには、定期的に歯科医院を受診し、プロによる専門的なクリーニングを受けることが不可欠です。正しいセルフケアと定期的なプロのケアを組み合わせることで、健康な口腔内を保ちながら、結果的に歯科医院への通院回数や治療にかかる費用を賢く減らすことができます。ぜひ今日から、ご自身の口腔ケアを見直してみてください。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

菅野 友太郎 | Yutaro Kanno

国立東北大学卒業後、都内の医療法人と石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)に勤務。
2018年大森沢田通り歯科・予防クリニックを開業し現在に至る。

【所属】
5-D Japan 会員
日本臨床歯周病学会 会員
OJ(Osseointegration study club of Japan) 会員
静岡県口腔インプラント研究会 会員
日本臨床補綴学会 会員 会員
日本デジタル歯科学会 会員
SPIS(Shizuoka Perio implant Study) 会員

・TISS(Tohoku implant study society) 主催

 

【略歴】
2010年国立東北大学 卒業
・2010年都内医療法人 勤務
2013年 石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)勤務
2018年 大森沢田通り歯科・予防クリニック 開業
2025年 銀座Aクリニックデンタル 理事長 就任

平和島・大森エリアの歯医者・歯科「大森沢田通り歯科・予防クリニック」
沢田通り歯科・予防クリニック
住所:東京都大田区大森北6丁目23−22
TEL:03-3767-0648