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歯周病は歯磨きだけで治らない?受診が怖い人のための歯科治療ガイド2025年11月22日

歯周病は歯磨きだけで治らない?受診が怖い人のための歯科治療ガイド

平和島・大森エリアの歯医者・歯科「大森沢田通り歯科・予防クリニック」です。

朝の歯磨きでの出血、気づけば強くなっている口臭、そして何となくグラつく歯。もしかして歯周病かもしれない、でも「歯磨きを頑張れば何とかなるはず」と、歯科医院への受診をためらっていませんか?多くの患者さんが抱える「歯医者は怖い」という気持ち、そして「歯周病は歯磨きだけで治るのか?」という疑問に、この記事では真摯に向き合います。

歯周病治療の基本は、ご自宅での丁寧なセルフケアと、歯科医院での専門的なケアの両立です。この記事では、なぜ歯磨きだけでは歯周病が完治しないのか、ご自身の歯周病の進行度をチェックする方法、そして「痛いのでは?」「費用は?」といった歯科治療への不安を和らげるための具体的な情報まで、幅広く解説します。

この記事を読み終える頃には、歯周病に関する正しい知識が身につき、具体的な治療法や、恐怖心を乗り越えて前向きな一歩を踏み出すためのヒントが得られるでしょう。大切な歯を守り、自信を取り戻すためのガイドとして、ぜひ最後までお読みください。

「歯磨きだけで歯周病は治る?」その疑問にお答えします

毎日の歯磨きで「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」といった経験はありませんか?もしかしたら、それは歯周病のサインかもしれません。歯周病の進行を止めるために、まずはご自身の歯磨きをこれまで以上に頑張ろうと考えている方もいらっしゃるでしょう。果たして歯周病は、日々の丁寧な歯磨きだけで改善する病気なのでしょうか。

結論からお伝えすると、残念ながらセルフケアである歯磨きだけで歯周病を「完治」させることは非常に難しいです。もちろん、適切な歯磨きは歯周病の予防や進行を抑える上で非常に重要ですが、それだけでは取り除けない汚れがあり、専門的な治療が必要となる段階があるのです。

このセクションでは、歯磨きだけでは歯周病が完治しない理由を、専門的な視点から詳しく解説していきます。ご自身の口腔内の状況を正しく理解し、適切な対処法を見つけるための一歩として、ぜひ読み進めてみてください。

結論:セルフケアだけでの「完治」は難しい

「歯磨きだけで歯周病は治りますか?」という問いに対して、歯科専門家の立場からは「いいえ、セルフケアだけでの完治は困難です」と明確にお答えします。ここでいう「完治」とは、歯周病の進行が完全に止まり、歯ぐきや歯を支える骨などの歯周組織が健康な状態に回復し、それが維持されることを指します。

歯周病の初期段階である「歯肉炎」であれば、歯ぐきの炎症に限られているため、正しい歯磨きと歯科医院での適切なクリーニングによって改善し、健康な状態に戻せる可能性は十分にあります。しかし、一度歯周病が進行し、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊され始めてしまうと、ご自身による歯磨きだけでは病状を元の健康な状態に戻すことはできません。その最も大きな理由が、次の項目で詳しくご説明する「歯石」の存在です。

なぜ歯磨きだけでは不十分?原因は硬い「歯石」にあった

歯周病がセルフケアである歯磨きだけでは完治できない最も重要な理由は、「歯石」の存在にあります。まず、歯周病の原因となるのは、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着する「歯垢(プラーク)」です。歯垢は細菌の塊であり、毎日丁寧に歯磨きをすることで大部分は除去できます。

しかし、磨き残された歯垢は、唾液に含まれるミネラル成分と結合して約2日間で石灰化し、非常に硬い「歯石」へと変化します。この歯石は、一度形成されてしまうと、どんなに高性能な歯ブラシを使っても、どんなに丁寧な歯磨きをしても、ご自身の力では決して除去することができません。歯石の表面はザラザラしているため、さらに歯垢が付着しやすくなり、歯周病菌が繁殖しやすい温床となってしまいます。

歯石は、歯ぐきの炎症を悪化させ、歯周ポケットを深くする原因となり、歯周病の進行を加速させます。この頑固な歯石を除去できるのは、歯科医院に備えられた専用の器具「スケーラー」を使用する歯科医師や歯科衛生士だけです。そのため、歯周病を根本的に治療し、進行を食い止めるためには、専門家による歯石除去が不可欠であり、セルフケアだけでは不十分なのです。

もしかして歯周病?進行度でわかるセルフチェックリスト

毎日の歯磨きで「もしかして歯周病かな?」と感じることはありませんか。歯ぐきの状態や口内の変化は、歯周病のサインかもしれません。ここでは、ご自身の口の中の状態を客観的に把握できるよう、歯周病の進行度に応じたセルフチェックリストをご紹介します。ただし、これはあくまで簡易的な目安であり、正確な診断は歯科医師が行います。ご自身の症状がどの段階に当てはまる可能性があるかを確認し、早期受診のきっかけとしていただけると幸いです。

【初期症状】歯肉炎:歯ぐきの腫れや出血がある

歯周病の最も初期の段階を「歯肉炎」と呼びます。この段階で見られる典型的な症状は、歯磨きのときに出血することや、歯ぐきが赤く腫れぼったくなることです。また、歯ぐきがムズムズするといった違和感を覚える方もいらっしゃいます。歯肉炎の段階では、まだ歯を支える骨の破壊は始まっていません。そのため、この段階で適切な歯磨き習慣を身につけ、歯科医院でのプロフェッショナルなクリーニングを受けることで、健康な状態に回復できる可能性が非常に高い、大変重要なステージです。

【軽度歯周病】歯周炎:歯周ポケットが深くなり始める

歯肉炎が進行すると、「軽度歯周炎」へと移行します。この段階では、炎症がさらに奥へと広がり、歯を支える顎の骨(歯槽骨)が溶け始めるのが特徴です。歯と歯ぐきの間の溝が深くなった状態を「歯周ポケット」と呼びますが、軽度歯周炎ではこの歯周ポケットの深さが3〜5mm程度になることが目安です。歯ぐきからの出血や腫れは歯肉炎の段階から引き続き見られますが、加えて冷たいものがしみたり、歯ぐきが少し下がったように感じたりすることもあります。しかし、この段階ではまだ強い痛みを感じることが少ないため、自覚しにくいという特徴があります。

【中等度〜重度歯周病】歯周炎:歯がグラつく、口臭が強くなる、膿が出る

軽度歯周炎を放置すると、病状はさらに悪化し、「中等度〜重度歯周炎」へと進行します。この段階では歯槽骨の破壊がかなり進み、歯周ポケットの深さは6mm以上になることが多くなります。具体的な症状としては、歯を支える骨が失われることで歯がグラグラと動き始めたり、食べ物が噛みにくくなったりします。また、歯周病菌が増殖することで口臭が非常に強くなり、ご自身で自覚したり、周囲の人から指摘されたりすることもあります。さらに、歯ぐきを押すと白い膿(うみ)が出たり、歯並びが変わってきたと感じる方もいらっしゃいます。これらの症状は、歯を失う危険信号です。ここまで進行すると、治療もより複雑になり、時間も費用もかかることを覚悟しなければなりません。

歯科医院は怖くない!歯周病治療の不安を解消します

歯周病の治療が必要だとわかっていても、「痛いのではないか」「何をされるかわからず怖い」「口の中を見せるのが恥ずかしい、怒られるのではないか」といった不安から、なかなか歯科医院の予約に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。しかし、現代の歯科治療は、患者さんの心身の負担を最小限に抑えるためのさまざまな工夫が凝らされています。特に麻酔技術の進歩は目覚ましく、治療中の痛みをほとんど感じずに受けられるように配慮されています。

治療を始める前には、患者さんのお口の状態や、どのような治療が必要で、どのくらいの期間と費用がかかるのかについて、歯科医師や歯科衛生士が丁寧に説明します。疑問や不安があれば、その場で納得できるまで質問できるため、安心して治療に臨むことができます。歯科医院は、決して怖い場所ではありません。歯周病によって失われつつある健康を取り戻すために、歯科医師や歯科衛生士はあなたの心強いパートナーとなり、二人三脚でサポートしてくれます。

「もう少し早く来ていれば良かった」というお声をいただくことも少なくありません。不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずは一歩踏み出して相談してみませんか。あなたの勇気ある一歩が、健康な口元と自信を取り戻すことにつながるはずです。

どんな治療をするの?進行度別の治療フロー

歯科医院で行われる歯周病治療は、患者さん一人ひとりの歯周病の進行度や口の状態に合わせて、最適な方法が選択されます。しかし、どの治療においても、まずは現在の口の中の状態を正確に把握するための精密な検査から始まります。歯周ポケットの深さの測定、レントゲン撮影による骨の状態の確認、歯ぐきの出血の有無などを詳しく調べます。

その上で、治療は主に「歯周基本治療」「歯周外科治療」「メンテナンス(SPT)」という段階を経て進められます。歯周基本治療はすべての歯周病治療の土台となる最も重要な処置であり、歯周外科治療は基本治療では対応しきれない場合に検討されます。そして、治療後の良い状態を維持するためのメンテナンスが、再発防止には不可欠です。次のセクションからは、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

【基本治療】すべての基本となる歯石除去(スケーリング)と歯磨き指導

歯周病治療の最も基本的なステップであり、すべての歯周病患者さんに共通して行われるのが「歯周基本治療」です。この治療の核となるのが「スケーリング」と呼ばれる歯石除去の処置です。歯磨きでは決して取り除くことのできない硬い歯石は、歯周病菌の温床となります。スケーリングでは、歯科医師や歯科衛生士がスケーラーという専用の器具を使い、歯の表面や歯周ポケットの中に付着した歯石を徹底的に除去します。

この歯石除去と並行して非常に重要になるのが「歯磨き指導(TBI:Tooth Brushing Instruction)」です。歯周病は日々のセルフケアの積み重ねによって進行したり改善したりするため、いくら歯科医院で専門的な処置を受けても、ご自宅でのブラッシングが不十分では再発のリスクが高まります。歯科衛生士が、患者さん一人ひとりの歯並びや歯ぐきの状態、磨き方の癖などを考慮し、歯周ポケットの汚れを効果的に落とせるブラッシング方法や補助清掃用具の使い方を丁寧に指導します。正しい知識と技術を身につけることが、治療効果を最大限に高め、長期的に健康な口元を維持するための鍵となるのです。

【中等度向け】歯周ポケットの奥深くを掃除(SRP)

歯周基本治療の中でも、歯周病が軽度から中等度に進行している場合に特に重要となるのが「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」です。スケーリングが歯の表面や比較的浅い歯周ポケットの歯石を除去するのに対し、SRPは歯周ポケットの奥深く、歯の根(歯根)の表面にこびりついた歯石や、細菌によって汚染されたセメント質と呼ばれる組織を、専用の器具(キュレットスケーラー)を使って徹底的に除去し、根の表面を滑らかにする処置です。

歯周ポケットが深い部分の処置になるため、必要に応じて局所麻酔を使用することがあります。麻酔が効いている間は痛みを感じることはほとんどありませんので、ご安心ください。SRPを行うことで、歯周ポケット内の細菌の量を大幅に減らし、歯根面を清潔で滑沢な状態に整えます。これにより、再び歯垢や歯石が付着しにくい環境を作り、歯ぐきの炎症を鎮めて、歯周組織の回復を促すことを目的とします。

【重度向け】歯ぐきの手術(歯周外科治療)や再生療法

SRPを含む歯周基本治療をしっかり行ったにもかかわらず、深い歯周ポケットが残ってしまったり、歯を支える骨の破壊が進んでしまったりしている重度の歯周病に対しては、「歯周外科治療」が検討されます。代表的なものに「フラップ手術」があります。これは、歯ぐきを一時的に切開して剥がし、歯根の深い部分や、骨の形を目で直接確認しながら、徹底的に歯石や不良組織を除去する手術です。深い部分の清掃を確実に行えるため、歯周病の進行を食い止める効果が期待できます。

さらに、失われた歯槽骨(しそうこつ)などの歯周組織を回復させることを目指す「歯周組織再生療法」という高度な治療法もあります。GTR法(組織再生誘導法)やエムドゲイン法などがあり、骨を誘導する材料や薬剤を用いることで、条件が合えば失われた組織の一部を再生させ、歯の寿命を延ばす可能性があります。これらの治療は、より専門的な技術と知識が必要とされますが、重度の歯周病であっても抜歯を回避し、ご自身の歯を長く使い続けるための重要な選択肢となり得ます。

「痛い?」「高い?」「時間がかかる?」治療の気になる疑問

歯周病治療の必要性は理解しても、多くの方が抱えるのが「治療は痛いのか」「費用はどれくらいかかるのか」「どれくらいの期間通う必要があるのか」という疑問と不安です。これらの不安が受診の大きな妨げになっていることも少なくありません。ここでは、皆さんが安心して治療を受けられるよう、これらの疑問に具体的にお答えし、治療へのハードルを少しでも下げていただくことを目的とします。

治療中の痛みへの配慮(麻酔など)について

歯周病治療における「痛み」に対する不安は、歯科医院への受診をためらう大きな理由の一つです。しかし、ご安心ください。現代の歯科治療では、治療中の痛みを最小限に抑えるためのさまざまな配慮がなされています。歯ぐきの表面に塗る「表面麻酔」や、注射による「局所麻酔」を適切に使うことで、歯石除去(スケーリング)やSRP、さらには歯周外科手術といった処置も、ほとんど痛みを感じることなく受けることが可能です。

麻酔注射自体も、針の細さや麻酔液の温度、注入速度を調整することで、不快感を軽減する工夫がされています。また、歯科医師や歯科衛生士は、常に患者さんの表情や様子に気を配っています。「痛い」と感じた場合は、我慢せずにすぐに伝えてください。痛みを感じやすい方には、治療を一時中断したり、麻酔を追加したりするなど、個々の状況に合わせて柔軟に対応します。無理に我慢する必要は一切ありませんので、どうぞご遠慮なくお申し出ください。

治療にかかる期間と通院回数の目安

歯周病治療にかかる期間や通院回数は、歯周病の進行度合いや治療内容によって大きく異なります。例えば、比較的初期の歯肉炎や軽度歯周炎の場合、歯周基本治療(スケーリングやブラッシング指導など)を中心に、数回の通院で数ヶ月程度で一旦の改善が見られることが多いです。しかし、中等度から重度の歯周病でSRPや歯周外科治療が必要となる場合は、治療期間が半年から1年以上かかることも珍しくありません。これは、段階的に治療を進める必要があり、歯ぐきの治癒期間も考慮する必要があるためです。

大切なのは、治療が終わってからが本当の始まりだということです。歯周病は再発しやすい病気であり、良い状態を維持するためには「メンテナンス(SPT:支持療法)」が不可欠です。治療終了後は、一般的に3〜6ヶ月に1回程度の定期的な通院で、専門的なクリーニングや口腔状態のチェックを受けることが推奨されます。このメンテナンスを継続することで、歯周病の再発を効果的に防ぎ、長期的に健康な口元を保つことができるのです。

保険適用で受けられる歯周病治療の費用相場

歯周病治療の費用について不安を感じる方も多いでしょう。日本の健康保険制度では、歯周病の検査、スケーリング、SRP、そして一般的な歯周外科治療といった一連の基本的な治療の多くが保険適用となります。そのため、過度に高額な費用を心配する必要はありません。

具体的には、3割負担の場合の費用相場として、初診時の検査やレントゲン撮影などを含め、3,000円から5,000円程度が目安となるでしょう。歯石取り(スケーリング)は、通常数回に分けて行われ、1回あたり1,000円から1,500円程度が目安です。さらに深い部分の歯石除去であるSRPも、数回に分けて行われることが多く、1回あたり1,000円から3,000円程度が一般的です。ただし、これらはあくまで目安であり、病状や治療する歯の本数、歯科医院によって変動します。

なお、歯周組織再生療法のような先進的な治療や、見た目を改善するための審美的な処置、特定の材料を使用する治療などは、保険適用外の自由診療(自費)となる場合があります。自由診療を検討する際には、治療内容や費用について、事前に歯科医師から十分な説明を受け、納得した上で選択することが重要です。

「口の中を見せるのが恥ずかしい…」そんな気持ちに寄り添います

長期間歯科医院から足が遠のいてしまい、「自分の口の中はひどい状態だから、見せるのが恥ずかしい」「怒られるのではないか」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、どうかご安心ください。歯科医師や歯科衛生士は、毎日多くの患者さんの口の中を診ており、さまざまな症状や状態を経験しています。どんなにひどい状態であっても、決して患者さんを責めたり、がっかりしたりすることはありません。

むしろ、「勇気を出して受診してくれたこと」を心から歓迎し、あなたの健康を取り戻したいという気持ちに真摯に向き合います。私たちは、あなたの口の中の状態を改善し、健康な状態を維持するためのサポートをすることが仕事です。口の中の健康は全身の健康にも大きく影響します。恥ずかしいという気持ちは、健康への第一歩を踏み出す上で誰もが抱く自然な感情です。その気持ちを乗り越えて歯科医院のドアを叩いたあなたの行動こそが、何よりも素晴らしいことなのです。私たちと一緒に、あなたの健康な口元と自信を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

治療効果を高める!歯科医院と二人三脚で進める正しいセルフケア

歯周病の治療を成功させ、再発を防ぎ、長期的に健康な状態を維持するためには、歯科医院での専門的な治療だけでは不十分です。患者さんご自身が日々行うセルフケアが、治療効果を最大限に引き出すために不可欠となります。歯科医院と患者さんが「二人三脚」で、お口の健康に向き合う姿勢が何よりも大切です。ここからは、プロが推奨する具体的なセルフケアの方法について詳しく解説していきます。

「磨いている」と「磨けている」は違う!歯周ポケットを狙うブラッシング法

毎日歯磨きをしていても、歯周病が進行してしまう方が多くいらっしゃいます。これは「磨いている」つもりでも、実際には汚れが十分に落ちていない「磨き残し」があるためです。特に歯周病のケアでは、歯周病菌の温床となる「歯周ポケット」内の清掃が重要になります。

効果的なブラッシング法として「バス法」や「スクラビング法」があります。バス法では、歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に対して約45度の角度で当て、軽い力で小刻みに振動させるように動かします。これにより、毛先が歯周ポケットの入り口まで届き、そこに潜む歯垢をかき出すことができます。スクラビング法は、歯ブラシの毛先を歯の面に垂直に当て、小刻みに往復運動させる方法で、歯の表面の歯垢を効率よく除去します。

どちらの磨き方をするにしても、力を入れすぎず、歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で、一本一本丁寧に磨くことがポイントです。磨き残しを防ぐためには、磨く順番を決めて、すべての歯に行き渡るように意識しましょう。歯科医院では、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせたブラッシング指導を行っていますので、ぜひ積極的に相談してみてください。

歯ブラシだけでは汚れの6割しか落とせない?歯間ブラシ・フロスの重要性

歯ブラシだけを使ったブラッシングでは、お口の中の汚れの約6割程度しか除去できないと言われています。特に歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯垢が残りやすく、歯周病が進行しやすい場所です。そこで重要となるのが、補助清掃用具である「デンタルフロス」と「歯間ブラシ」の活用です。

デンタルフロスは、主に歯と歯が接している部分の狭い隙間の歯垢を取り除くのに適しています。細い繊維が歯間にスムーズに入り込み、食べかすや歯垢を絡め取ります。一方、歯間ブラシは、歯ぐきが下がって歯と歯の間の隙間が広がっている部分や、ブリッジの下など、より広い隙間の清掃に効果的です。さまざまなサイズがあるため、ご自身のお口の隙間の大きさに合ったものを選ぶことが大切です。

フロスや歯間ブラシを毎日使用することで、歯ブラシだけでは落としきれない歯垢を除去し、歯周病のリスクを大きく減らすことができます。これらの補助清掃用具の正しい使い方や、ご自身に合ったサイズの選び方についても、歯科医院で指導を受けることをおすすめします。

市販のケア用品(歯磨き粉・マウスウォッシュ)の効果と選び方

ドラッグストアには、歯周病ケアをうたう歯磨き粉や液体歯磨き、マウスウォッシュが数多く並んでいます。これらの市販のケア用品は、日々のセルフケアを「補助する」役割を担いますが、ブラッシングなどの物理的な清掃が歯周病ケアの基本である、という点を忘れてはいけません。

歯周病対策用の歯磨き粉やマウスウォッシュには、歯周病菌の殺菌を助ける「IPMP(イソプロピルメチルフェノール)」や「CPC(塩化セチルピリジニウム)」、歯ぐきの炎症を抑える「トラネキサム酸」や「グリチルリチン酸ジカリウム」、歯ぐきの血行促進や活性化を促す「ビタミンE」などが配合されていることがあります。これらの成分は、歯周病の進行を抑えたり、症状を和らげたりする効果が期待できます。

ご自身の症状や目的に合わせて、これらの薬用成分が配合された製品を選ぶことが大切です。例えば、歯ぐきの炎症や出血が気になる場合は抗炎症成分配合のものを、口臭が気になる場合は殺菌成分配合のものを、といった選び方ができます。ただし、これらの製品だけで歯周病が完治するわけではありません。あくまで日々の丁寧なブラッシングと、歯科医院での専門的なケアとを組み合わせることで、最大の効果を発揮します。

歯周病は口だけの問題じゃない?全身の健康に及ぼす影響

歯周病は、多くの方が「口の中だけの問題」と考えがちですが、実は全身の健康と密接に関わっている「全身疾患」としての側面を持っています。歯周病が進行すると、口の中にいる歯周病菌や、歯ぐきの炎症によって生じる有害な物質が血管を通じて全身を巡り、心臓病や糖尿病など、さまざまな病気のリスクを高めることが近年の研究で明らかになっています。

このセクションでは、歯周病がなぜ全身の健康に悪影響を及ぼすのか、そしてどのような病気と関連があるのかを詳しく解説します。口の健康を保つことが、全身の健康を守ることに直結しているという新たな視点から、歯周病治療の重要性をお伝えしていきます。

糖尿病や心筋梗塞のリスクも?見逃せない体へのサイン

歯周病が全身の健康に及ぼす影響の中でも、特に注目されているのが「糖尿病」との強い相関関係です。歯周病は糖尿病を悪化させ、糖尿病もまた歯周病を悪化させるという、互いに悪影響を及ぼし合う関係にあることがわかっています。歯周病菌が体内に侵入すると、炎症性物質が増加し、血糖値を下げるインスリンの働きを妨げるため、糖尿病の症状が悪化しやすくなります。逆に、糖尿病の患者さんは免疫力が低下していることが多く、歯周病にかかりやすく、進行しやすい傾向にあります。

また、歯周病菌や炎症性物質は血管に入り込み、動脈硬化を進行させる要因となることも指摘されています。動脈硬化は、血管が硬くなり弾力性を失う病気で、進行すると心臓病(心筋梗塞)や脳の病気(脳梗塞)といった命に関わる重篤な疾患を引き起こすリスクを高めます。実際、歯周病の患者さんは、そうでない人に比べて心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高いという研究結果も報告されています。

さらに、高齢者の間で問題となっている「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」のリスクも高まります。口の中にいる歯周病菌が唾液や食べ物と一緒に誤って気管に入り込むことで、肺炎を引き起こすのです。妊娠中の女性の場合は、歯周病が「早産」や「低体重児出産」のリスクを高める可能性も指摘されており、口の健康管理が、お母さんと赤ちゃんの命を守ることにも繋がることがわかっています。

生活習慣も見直そう!歯周病のリスクを高める要因

歯周病は、歯周病菌による感染症ですが、その発症や進行には日頃の生活習慣が大きく関わっています。適切なセルフケアと歯科医院での専門的な治療に加えて、生活習慣の見直しも歯周病対策の重要な柱となります。ここでは、歯周病のリスクを高める主な要因とそのメカニズムについて解説します。

最大の危険因子として挙げられるのが「喫煙」です。タバコに含まれる有害物質は、歯ぐきの血管を収縮させ血流を悪化させるため、歯ぐきに必要な栄養や酸素が届きにくくなり、免疫機能が低下します。また、歯ぐきが固くなり、歯周病が進行しても出血しにくくなるため、初期のサインに気づきにくいという特徴もあります。さらに、喫煙は歯周病の治療効果を著しく低下させ、再発リスクも高めます。

その他、「ストレス」も歯周病のリスクを高める要因の一つです。ストレスは体の免疫力を低下させるため、歯周病菌への抵抗力が弱まります。また、ストレスが原因で歯ぎしりや食いしばりが強くなることもあり、歯や歯周組織に過度な負担をかけることで歯周病を悪化させる可能性があります。「不規則な食生活や栄養の偏り」も、体の抵抗力を弱め、歯ぐきの健康を損なう原因となります。「睡眠不足」や「肥満」も同様に、全身の免疫機能に影響を及ぼし、歯周病のリスクを高めると考えられています。これらの生活習慣を改善することは、歯周病だけでなく、全身の健康維持にとっても非常に重要です。

まとめ:勇気を出して歯科医院へ。健康な歯と自信を取り戻す第一歩を踏み出そう

歯周病は、日々の丁寧な歯磨きといったセルフケアだけでは完治が難しい病気です。一度石のように硬くなった歯石は歯ブラシでは取り除くことができず、歯周病の進行を食い止めるためには、歯科医院での専門的な治療が不可欠になります。しかし、「痛そう」「費用が高い」「何をされるか分からない」といった不安から、歯科医院への受診をためらってしまう方も少なくありません。

現代の歯科治療では、痛みへの配慮が十分になされています。表面麻酔や局所麻酔を適切に使用することで、治療中の痛みはほとんど感じずに済むよう工夫されています。また、歯科医師や歯科衛生士は、患者さんが安心して治療を受けられるように、事前に丁寧な説明を行い、常に患者さんの気持ちに寄り添うことを心がけています。決して叱るようなことはせず、患者さんの健康を取り戻すためのパートナーとして、一緒に最善の治療法を考えていきますのでご安心ください。

歯周病の治療は、早期に始めるほど心身への負担が少なく、時間も費用も抑えられます。手遅れになる前に治療を開始することは、大切な歯を守るだけでなく、全身の健康を守ることにも繋がります。今抱えている不安や恥ずかしさを乗り越え、「まずは相談だけでも」という気持ちで、ぜひ一度歯科医院のドアを叩いてみてください。それが、健康な歯と自信を取り戻し、より快適な毎日を送るための大きな第一歩となるはずです。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

菅野 友太郎 | Yutaro Kanno

国立東北大学卒業後、都内の医療法人と石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)に勤務。
2018年大森沢田通り歯科・予防クリニックを開業し現在に至る。

【所属】
5-D Japan 会員
日本臨床歯周病学会 会員
OJ(Osseointegration study club of Japan) 会員
静岡県口腔インプラント研究会 会員
日本臨床補綴学会 会員 会員
日本デジタル歯科学会 会員
SPIS(Shizuoka Perio implant Study) 会員

・TISS(Tohoku implant study society) 主催

 

【略歴】
2010年国立東北大学 卒業
・2010年都内医療法人 勤務
2013年 石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)勤務
2018年 大森沢田通り歯科・予防クリニック 開業
2025年 銀座Aクリニックデンタル 理事長 就任

平和島・大森エリアの歯医者・歯科「大森沢田通り歯科・予防クリニック」
沢田通り歯科・予防クリニック
住所:東京都大田区大森北6丁目23−22
TEL:03-3767-0648